会社名を変更した時の属性型JPドメイン更新手続き

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「co.jp」ドメインは法人用のドメインで、1つの会社に付き1つしか取得できない。

会社のドメインは普通1つあれば十分なので、ドメイン保有数の多寡が問題になることは少ないだろう。

しかし、会社名を変更した時は別だ。

新社名になったとたん、社名とドメインの関連性が無くなってしまうと、これは些か体裁が悪い。

そんな背景もあって、社名変更と法人用「属性型JPドメイン」の登録について色々と調べた結果をまとめる。

CO.JPドメインは会社組織だけが取得できるドメイン

ドメインの取得・運用は一般化し、別段珍しいことではなくなった。

しかし、「属性型JPドメイン」となると話は別だろう。

「属性型JPドメイン」とは、企業(co.jp)や学校法人(ac.jp)など、組織の種別ごとに区別されたドメインのことだ。

ドメインには、誰でもお気楽に登録できるドメインと、一定の要件を満たさなければ登録できないドメインがある。

誰でも登録できるお気楽ドメインの代表は「.com」「.net」「.org」など、よく目にするドメインだ。

それに対して、一定の要件を満たさなければ登録できないドメインが「co.jp」「or.jp」「ac.jp」などだ。

そして、「co.jp」ドメインは法人だけが登録を許された特別なドメインだ。

この「co.jp」ドメインは、「属性型JPドメイン」の一種である。

ドメイン名の種類については下記が詳しい。
ドメイン名の種類

CO.JPドメインの取得手続き

co.jpドメインを取得する方法は、「.com」「.net」「.org」などに比べると少々面倒だ。

1つの会社で1つしか取得できないというルールのおかげで、co.jpドメインを取得する際には「会社登記簿」に記載されている情報を逐一入力しなければならない。

昔は会社登記簿も提出したような記憶があるが、最近は会社登記簿の提示は「必要に応じて」というように、運用が緩和されているようだ。

また、co.jpドメインを取り扱うドメイン登録業者(レジストラ)も増え、co.jpドメインの取得は一昔前に比べると随分と簡素化された印象だ。

会社名の変更とドメイン

通常、会社法人組織のドメインは、その社名に関連した文字が使われることが多いはずだ。

会社名変更というビッグイベントは滅多に無いことだが、例えば合併や事業譲渡など、会社を取り巻く諸々の情勢を鑑みると、社名変更に遭遇する機会は意外にあるかもしれない。

会社名が変われば、会社のドメインも社名に合わせたくなるものだ。

しかし、ドメインの変更は非常にインパクトの大きな変化だ。

ホームページのURLも変わるし、メールアドレスも変わってしまう。

メールアドレスの変更は、取引先への周知の問題もあり、おいそれとは変更できないのだ。

そんな事情もあって、旧ドメインと新ドメインを併用したいという要望も少なからずある。

ところが、co.jpドメインは一つの会社で一つだけしか取得できない。

社名を変えたからと言って、複数のドメインを保持出来ないというルールがあるのだ。

1つの会社で複数のCO.JPドメインを取得出来るようになった

co.jpドメインは一つしか取得できないという、この不便なルールは評判が悪かったらしく、「登録者の皆さまからの強いご要望」によって、1つの会社でも複数のドメインを取得できるようなルールの変更があった。

詳細については「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」の改訂について(改訂主旨)(更新)」に記載があるが、いわゆる「1組織1ドメイン名制限緩和」と呼ばれているルール変更だ。

今回、この「1組織1ドメイン名制限緩和」ルールに従って2つ目のco.jpドメインを取得しようとしたわけだが、意外に面倒だった。

会社が2つ目のCO.JPドメインを取得するための手続き

「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」の改訂によって、1組織1ドメイン名制限が緩和されたが、詳しく調べてみると、思いのほか手間がかかる。

引き受けてくれるドメイン登録事業者(レジストラ)が限れらる

ドメインの登録が簡単になった昨今、ドメイン登録事業者(レジストラ)は選び放題である。

しかし、「1組織1ドメイン名制限緩和の申請」に対応してくれるレジストラは限られている。

どこのレジストラでも申請に応じてくれるわけでは無いのだ。

驚いたのは、「お名前.com」が「1組織1ドメイン名制限緩和の申請」に対応していなかったことだ。

お名前.comと言えば、ドメイン登録事業者(レジストラ)の中でも、まぁまぁ大手の部類。

しかも、co.jpドメインの新規登録も受け付けているので、当然「1組織1ドメイン名制限緩和の申請」に対応かと思いきや、対応不可だそうで、期待外れも甚だしい限りだ。

そんな感じで、まずは「1組織1ドメイン名制限緩和の申請」に対応してくれるレジストラ探しから始めなければならないのだ。

1組織1ドメイン名制限緩和申請にかかる手数料

「1組織1ドメイン名制限緩和申請」には手数料がかかる。

この手数料は「1組織1ドメイン名制限緩和申請」に応じてくれるレジストラに支払う手数料であるが、レジストラごとに手数料がバラバラなのだ。

筆者が調べた限り、「1組織1ドメイン名制限緩和申請」手数料の最高額は¥30,000。最低額は無料という幅の広さ。

経費節減のためにも、1円でも手数料の安い事業者を選びたいものだが、「1組織1ドメイン名制限緩和申請」手数料をホームページに掲載しているレジストラはほとんど無かった。

結果、目ぼしいレジストラにメールで問い合わせるという面倒な作業をする羽目になってしまった。

1組織1ドメイン名制限緩和申請のための条件

「1組織1ドメイン名制限緩和の申請」を引き受けてくれるレジストラも、無条件でという事業者は少ない。

引き受けのための条件は様々だが、例えば制限緩和申請対象となる全てのドメインが管理下にあること、などの条件だ。

また、1組織1ドメイン名制限緩和の申請後にwhoisの情報変更が必要になるので、その手数料が発生したりしなかったりと、ドメイン登録事業者(レジストラ)ごとに条件が様々で、最適解を導き出すのは至難だ。

1組織1ドメイン名制限緩和申請の流れ

会社で2つ目のco.jpドメインを登録するには、「1組織1ドメイン名制限緩和申請」が必要になる。

「1組織1ドメイン名制限緩和申請」に関する情報は少なくて、あったとしても概略的な説明ばかりで、実務として参考になる資料はあまり見られない。

幾つものドメイン登録事業者(レジストラ)に、登録手数料や申請手続きの詳細をメールで問い合わせるうちに、1組織1ドメイン名制限緩和申請の流れが少しずつ明らかになって来た。

どうやら、申請したドメインが「1組織1ドメイン名制限緩和」の対象になるか否かは、co.jpのレジストリである株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が審査するらしい。

そして、JPRSの審査の結果、制限緩和が認められないこともあるということだ。

話しが複雑になってきたが、ここまでの登場人物は、

  • ドメイン登録者
  • ドメイン登録事業者(レジストラ)
  • JPRS(レジストリ)

の3者である。

ドメイン登録事業者(レジストラ)はドメイン登録者とJPRSの仲介役だ。

1組織1ドメイン名制限緩和申請は、ドメイン登録事業者(レジストラ)を通じて、JPRSに届けられる。

そして、JPRSでの審査結果を、ドメイン登録者に通達するのもドメイン登録事業者(レジストラ)だ。

ドメイン登録者にとって悩ましいのは、ドメイン登録事業者(レジストラ)に対して属性型JPドメインの制限緩和の可否を問い合わせても、結果はわからないという点だ。

つまり、レジストラに問い合わせて、すぐに回答を得られるという類の問題ではないということ。

「1組織1ドメイン名制限緩和」がわかりづらい理由の一つだろう。

そんな背景もあってか、ドメイン登録事業者(レジストラ)に「1組織1ドメイン名制限緩和」に関する問い合わせをしてみても、なかなか要領を得られなかった。

1組織1ドメイン名制限緩和の申請手続き時に覚えておきたいこと

とても複雑な「1組織1ドメイン名制限緩和申請」の手続きを行う際に、覚えておきたいことをまとめておく。

  • 1組織1ドメイン名制限緩和申請は、必ずドメイン登録事業者(レジストラ)に依頼しなければならない。
  • ドメイン登録事業者(レジストラ)での手続きは、各社各様なので、必ず問い合わせを行うこと。
  • 申請手続きはドメイン登録事業者(レジストラ)にお任せする。
  • 恐らくどこのドメイン登録事業者(レジストラ)に依頼しても、担当者との個別対応になるだろう。
  • 属性型JPドメインの制限緩和の可否は、JPRSが判断することで、ドメイン登録事業者(レジストラ)にはわからない。だから、申請の結果NGになることも有りうる。
  • 申請が却下された場合の手数料の扱いについては、事前にドメイン登録事業者(レジストラ)に確認すること。

「1組織1ドメイン名制限緩和申請」に役立つドメイン登録事業者(レジストラ)まとめ

各レジストラが「1組織1ドメイン名制限緩和申請」に対応しているか否か、またその手数料はいくらなのかなどの情報を下記にまとめる。

レジストラ名対応可否手数料備考
名づけてねっと無料
大塚商会アルファメール無料
エックスドメイン無料対象ドメインを全て管理下に移すこと。
whoisの変更手数料2,160円(税込)が必要
バリュードメイン無料対象ドメインを全て管理下に移すこと
シーズホスティングサービス¥15,000サーバーサービスの利用及び、対象ドメインを全て管理下に移すこと。(ドメイン名取得・移管
ムームードメイン¥30,000
スタードメイン不可
お名前.com不可
さくらインターネット不可

注)2018年6月調べ(2019年6月追記)

CO.JPドメインの運用は何かと面倒

ドメイン登録事業者(レジストラ)にとっても、「1組織1ドメイン名制限緩和申請」は恐らく滅多に無い、珍しい手続きなのだと思う。

ドメイン登録事業者(レジストラ)にも、ターゲットとしている顧客が個人なのか法人なのか、業者によって得手不得手があることだろう。

個人向けにドメイン登録サービスを提供しているドメイン登録事業者(レジストラ)では、1組織1ドメイン名制限緩和申請は殆ど経験が無いのではなかろうか?とも思える。

今や、会社のドメインは業務・業績に直結する重要なインフラである。

会社用ドメインに関することは、法人の顧客を多く抱えた、法人向けサービスが主体のドメイン登録事業者(レジストラ)に任せた方が無難だろうと感じる。

co.jpドメインは法人だけが登録出来る特別なドメインで、co.jpドメインがあると会社としては箔が付く。

世間体的には、会社で持つドメインはco.jpをお勧めするが、「1組織1ドメイン名制限緩和申請」一つとってもこの騒ぎということからも、co.jpドメインの保有は一長一短なのだろう。

何かと面倒なドメイン管理役を社内で押し付けられてしまった方々に、このエントリがお役に立てば幸いだ。

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